ライター中島英摩さん
終了したばかりの「UTMB」現地の様子と感想を伝えてくれました。
今年のUTMBウィーク前半は天候が良くなく、毎日の夕立と標高2000mで降雪があり、PTLやTDSは雪の中を走ることになりました。
UTMBがスタートする頃には天気が好転したものの、標高が上がるにつれて残雪あり。セーニュの下りでは解けた雪と泥が混じり、マッドでスリッピーに。普段は前半の下りではほぼ使わないけれど、不安定な時こそ使えるのがポール。脚だけの2点から4点での支持になることで体重を強くかけずともバランスよく下れました。また、後傾になると必要以上に大腿四頭筋を使ってしまうのですが、最後までなんとか走れる前腿を保つことができました。
UTMBは実は走れるセクションがかなり多いのですが、いくつかの登りはなかなか急峻です。フランス、イタリア、スイスなど地元のランナーは背が高く足も長く、どんどん登っていきます。背の低いわたしは段差に大きく足を挙げると無駄に消耗してしまうため、小さく付いてリズムを取りながら小股で素早く登ったり、急な舗装路ではポールを手首のスナップで軽く振り出してパワーウォークをするなど、使い方の引き出しをフル活用して周りの流れにのることができました。
わたしにとって、このポールはたくさんの縦走やトレイルレースを共にしてきた『相棒』。もはや身体の一部です。どうしようもなく潰れた時間帯もわたしの支えになってくれたし、復活してからの追い上げでもわたしを前に前に押し出してくれました。
スタートしたその瞬間からフィニッシュの瞬間まで、1度たりとも仕舞うことなく手となり脚となってくれて、レースを完遂できました。